コラム

EDとうつとペースメーカー

2018.05.31

タイトルと見ると「ED」と「うつ」は色々な結びつきが考えられると思いますが、「ペースメーカー」って聞くと何か関係性があるのかなと考えさせられます。そして調べているうちにこの題材に因んだ論文を見つけました。その題材を基にEDとうつとペースメーカーの関係性をお話していきます。

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不整脈でペースメーカーを埋め込んだ患者さんのEDの評価

題材に因んだ論文のタイトルは「Evaluation of dysfunction in permanent pacemaker implanted patients with cardiac rhythm disorder prediagnosis」でScottish Medical Journalという雑誌に掲載されていました。「不整脈でペースメーカーを埋め込んだ患者さんのEDの評価」といった意味です。心筋梗塞や狭心症などは血管の病気という共通点がありますし、EDの発症は将来の心筋梗塞などへの警報であるとも言われていますが、なぜペースメーカーとEDと関係を調べようと考えたのでしょうか。それに対する答えは「心因性ED」です。勃起機能は非常にデリケートなものでリラックスした状態で副交感神経が優位に働いていないとうまく機能しません。そのため、20代、30代の若い患者さん仕事のストレス、睡眠不足、過労などで緊張状態が長く続くと簡単にEDになります。ペースメーカー埋め込みを行う患者さんは心不全を起こしたり、心機能が低下していたりするため心臓リハビリテーションが必要なケースが多いので、非常にストレスを感じるようです。体にペースメーカーという機械を埋め込むわけなので当然ストレスを感じるでしょう。その結果、うつ状態になったりすることもあるわけです。

不整脈とは

心臓は全身に血液を送り出すポンプのような役割をします。ポンプを動かしているのは電気刺激です。まず、右心房にある洞結節が興奮し電気刺激が心筋全体へと伝わっていきます。不整脈とはこの心臓の興奮が正常に伝わらないことで脈が不整になることを言います。不整脈には大きく分けて3つの種類があります。脈が遅くなる「徐脈性不整脈」、脈が飛ぶようにに感じられる「期外収縮」、脈が速くなる「頻脈性不整脈」です。それぞれ症状が違うので治療方法が異なります。

ペースメーカー

ペースメーカーの埋め込みの適用には洞結節からの興奮が起こらない、または起こりにくい状態や刺激伝導系の途中が切れて、心室に興奮が伝わらないなどにより脈が遅くなる疾患があります。ペースメーカーはこのような徐脈性不整脈における調律の異常を補整するものです。

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心因性ED

上記でも軽くお話しましたが、EDの方の中でも特に若い方に多いのが心因性EDです。その時の心理に関わった要因によって2つに種類が分けられており、「自分の男性器の大きさで相手が満足しているだろうか…」「最後までできるだろうか…」といった自身で原因や誘因に気づいている場合は現実心因、自身でも気づかない漠然としたものによって引き起こられているのが深層心因とされています。

現実心因

家庭内の問題、仕事の問題・不安、性感染症の心配、早漏、失恋、妊娠恐怖などが現実心因の心因性EDに該当します。それらを明確にし、克服したりしていくことは簡単ではありませんが改善が比較的しやすい要因です。初めての性行為であったり、自身の経験の不足から不安になりやすい若い方がなりやすいのがこちらの現実心因のEDなのです。

深層心因

深層心因のEDの場合はそれが幼少期のトラウマや、抑圧された感情など、本人も気づいていないことが原因となっていたり、またいくつかの要因が複雑に関わっていることもあり、カウンセリングなどの心理療法を通して長い目で治療していく必要があります。

うつ病とは

気分障害の中で最もメジャーでかつ最も身近な症例と言えます。厚生労働省の調査によれば、1996年~1997年での患者数は約43~44万人程度でしたが2002年には71.1万人と一気に増加し、2005年には92.4万人、2008年には大台を突破し104.1万人とそれ以降も顕著な増加傾向にあります。自覚症状として気分の落ち込みや過度のマイナス思考といった精神面だけでなく、食欲の減退や疲れやすいなど身体面にも影響を及ぼし、外見的には表情が暗くなった、あるいは物事に対する反応が遅くなったように映ります。まだ完全に解明されたわけではありませんが、医学的には神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの量が減少し、脳の活発化が妨げられてしまうのが原因と考えられています。また、うつ病とEDの関連性についてはかねてより指摘されており、海外の調査結果ではうつ病患者はED発症比率が高いというその指摘を裏付ける結果が出されています。

EDとうつ

EDとうつというのは一酸化窒素(NO)が足りないという点では似ていて、EDとうつは関係が深いと考えられています。このような理由からペースメーカー埋め込みによりうつ状態やEDが引き起こされるというわけです。しかしながら上記のうつ状態やEDは心臓リハビリテーションを6ヵ月間行い、心臓の状態が良くなると共に改善してきたそうです。動脈硬化などがひどい器質性EDと違って、心因性EDは原因を取り除くことで症状が改善するということです。だからといって多くの心因性ED患者さんにEDの原因である過労、ストレス、睡眠不足などを取り除いてストレスフリーになってくださいというのはちょっと無理があります。ただ、EDであることが更なるストレスを生み出すため悪循環を断ち切る意味で積極的にED治療薬を使用するべきだと思います。

うつ病によるEDの治療

一見効果が相反するように見える抗うつ剤とED治療薬ですが、実は薬剤の飲み合わせの上では問題がありません。つまり、抗うつ剤を服用中の方でもED治療薬をご利用頂けるということになります。薬剤の選択が限定されるようなことも無く、ED治療薬の御三家とも言えるバイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)が全て服用可能です。抗うつ剤を服用中の方やペースメーカーを埋め込まれている方がED治療を考え、男性向けクリニックを受診される場合はお薬手帳を持参していただくなど服用中の薬剤を明確にし、可能であれば主治医との相談を済ませておいたほうが良い結果が出る可能性が高くなるでしょう。

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