シルデナフィルとは米国製薬会社「ファイザー」が製造・販売している、ED(勃起不全)、肺動脈性肺高血圧症の治療薬です。シルデナフィルと聞いてピンとこない方でも、ED治療薬「バイアグラ」と言われればご存知の方も多い事と思います。シルデナフィルとはバイアグラの主要成分となります。
もともとシルデナフィルとは狭心症の治療薬として研究されていましたが、臨床試験において狭心症への治療効果は捗々しいものではなく開発の中止が決まっていました。しかし、被験者がシルデナフィルの試験薬の返却を渋ったため、その理由を聞いたところ「陰茎の勃起を促進する作用がある」と言い、その効果が認められたためこれを適応症として開発が進められ販売という形に至ったのです。1998年にアメリカで販売が開始されると同時に、インターネットやマスコミなどで取り上げられました。日本でも個人輸入業者により入手することが可能だったため、バイアグラを知っているまたは使用したことがあるという方も多いのではないでしょうか。
EDに悩む方は決して少ないわけではなく、生涯で約15%の男性がED経験するとされています。60歳以上の男性は半数以上の方が勃起に対して何らかのお悩みを抱えています。このことから年齢とともにED治療の必要性も高まると言えるでしょう。
とはいっても若年層の方も例外ではありません。EDにも複数のタイプがあり、加齢とともに起こりやすくなる身体的な要因である「器質性ED」、ストレスや緊張など心理的な要因から起こる「心因性ED」、普段から服用している薬剤が原因となっている「薬剤性ED」、これらの要因からなる「混合性ED」があり原因は様々ですが、EDになる方のほとんどが生活習慣、食生活の乱れなどが原因となりこれが動脈硬化による血行不良の原因とされています。
シルデナフィルは体内で環状グアノシン―リン酸(cGMP)の分解を行っている5型ホスホジエステラーゼ(PDE-5)の酵素活性を阻害する作用があり、これが陰茎周辺部のNO作動性神経に作用して血管を拡張させ血流量が増えることにより作用するとされています。ED(勃起不全)の症状がありシルデナフィルを服用される場合は、性行為のおよそ30分程前に服用することで性行為を正常に行うことが可能となります。ただし、性的興奮が無い場合や陰茎に対して適切な物理的刺激が無い場合には勃起は起こりません。シルデナフィルには血流量を増やし勃起を促す効果はありますが、精液の量を増やす効果や性的な気分を高揚させる効果はありません。
シルデナフィルの副作用
シルデナフィルを服用することで副作用として現れる症状の多くは「頭痛、顔のほてり、動悸」が挙げられます。割合としてはかなり少ないですが「視覚障害(物が青く見える、目がかすむなど)、消化不良、めまい」なども挙げられています。副作用のほとんどは短時間で治まりますが、不安な場合や気になる時は服用をお止め頂き医師にご相談ください。
シルデナフィルの併用禁忌
・ニトログリセリン
・ニコランジル
・ニトロプルシドナトリウム
・硝酸イソソルビド
・亜硝酸アミル
・一硝酸イソソルビド
などがあります。
また心臓や血管に関する持病(狭心症や心不全など)がある場合、血管系障害などを有していて性行為することが出来ない方は処方することが出来ません。きちんとした医療機関で医師による問診を受けてからご使用ください。